連載にあたり"感動研究事始"と題したのは、なにも「蘭学事始」にならい高い志を持って考究に臨む、という決意表明からではない。「感動」を研究する必要にせまられたので、とりあえず、「事を始めて」みようといったにすぎない。
したがって、この連載は研究報告や論考ではなく、それ以前の手習い作業の状況報告であり、その中で読んだり見聞きして知った事柄についての心覚えやメモ控えのようなものである。それゆえ、知識情報不足や間違い、いや、誤謬以前に常識足らずのことだって必ずある。したがって、それらについては指摘があったり、気付いたら、そのつど、言い訳、加筆、修正していくことにする。いい加減なようだが、要するに、これが本連載の基本スタンスである。
そのようなわけで、現在のところ「感動研究」についての知識はほぼ白紙状態である。なんとも心もとないようだが、白紙でもそれに多少なりとも色がついていけば、それはそれで何かしらの意味が出てくるものである。そんな気楽な構えで、とりあえず「事」を始めてみようと思う。