藝大ファクトリーラボ(所長 藤原 信幸:東京藝術大学)と感動創造研究所(所長 福田龍典:株式会社ムラヤマ)は、2017年より「音と光と素材の複合的効果による空間演出による感動創造」というテーマで共同研究をスタート。2018年4月17日からイタリア・ミラノにて開催される「Milano Design Week 2018, Fuori Salone 2018」にて作品を発表いたします。
産学共同プロジェクトでもある『RESONANCE MATERIALS Project 素材の乗算』は、東京藝術大学取手キャンパスの藝大ファクトリーラボ所属の5名の若手の芸術家によって、日本人に連綿と受け継がれる、モノに宿る魂を感じる感性と、創造性あふれる優れた工芸技術を基盤に、異なる素材同士を組み合わせた“素材の妙”を生み出す作品群です。
作品発表を行うミラノの会場では、特別に、日比野 克彦 東京藝術大学 美術学部学部長と作家との対談、同じく日比野 克彦 学部長と矢倉 俊彦 感動創造研究所 最高責任者との対談も行う予定です。
アートを触媒とした、人と人とのつながり=共感を思考するプロジェクトは、ある「縁」から東京藝術大学と我々がつながっていったことからスタートしました。 我々の感動創造とその研究活動によって新しいつながりが次々と創られていくことは、感動が伝播するさまであり、共感そのものであると考えています。
あえて、我々のことを知らない多くの人々が集まるミラノの地を選ぶ。日本のアートが、どう解釈され、どういうつながりを産むのか?さらに、日本ではどう映るのか? 我々は、このプロジェクトで、今後もエクスペリエンスデザインの方法論を試す予定です。
どうぞ、ご期待ください。
日時:2018年4月17日(火)~22日(日)、10:00~19:00
会場:Fuori Salone 2018, OPIFICIO 31, via Tortona 31,(イタリア、ミラノ)
共催:藝大ファクトリーラボ、感動創造研究所
協力:東京藝術大学美術学部、株式会社ムラヤマ
藝大ファクトリーラボの若手アーティストの手により、 日本の伝統的な思想性と技術をリミックスし、素材の持つ可能性を引き出すと同時に、日本の美的な感覚で追及された新作に触れ、感覚器官=身体感覚で、その場にいる人と共通体験する“EXPERIENCE Design”として感動創造研究所が創出していくことを目的としています。
多神教の国である日本では、あらゆるモノに精霊が宿り、それは八百万の神と呼ばれます。アートとは本来、モノに精霊を宿す術であります。もはや我々のコントロールを超えたテクノロジーとIOT化によって、実感のないままに、生活が急速に変化しつつある現在、私達は身体感覚の拠り所をどこに置けば良いのでしょう。 本プロジェクトは、ヴァーチャルなメディウムが発表され続ける社会に対して、もっと現実の素材へ目を向けることを提案します。我々は、原初的に素材が持っている造形されることへの抵抗を、アートを通し、触覚性の復権、実体感の再認識に挑戦します。
参加アーティストは、使う素材〈ガラス、楠や檜などの木材、七宝、石材、マニュキュア、鋼、真鍮、ステンレス〉の内なる声を聞くことで、制作行為をも作品の一部とし、素材解釈へのヒント、造形へのヒントという価値を見出そうとしています。 我々は、このプロジェクトに共感するすべての方々と、エンゲージメントし、共同で何かを行うための土台作りをはじめます。
ミラノサローネデザインウィーク2018を出発点とするこのプロジェクトは、まずは皆様と日本的な感性で、素材に宿る何かを感じることを試みます。
作品に触れてみてください。
素材に触れるという身体感覚下において、単に素材を掛け合わせるということではなく、複合的に扱われた素材が、独自の技術やアーティストの感性と共鳴し、見る人との間に共感する価値を生み出すことでしょう。 このプロジェクトにおいて、同じ時間、同じ空間を共有し、“感じる” コトは、人と人に体験する価値を認知させ、様々な事象とのコミュニケーションのあり方を追求していくことでもあります。
藝大ファクトリーラボは、東京藝術大学の工房群の設備とスキルを活用し、学外機関とのコラボレーションによって、様々なプロジェクトを企画・実行します。多様な視点から、実践によって「つくること」の価値を研究し、社 会と共有していくことを目標としています。
https://geidai-factory.art/
〒302-0001
茨城県取手市小文間5000東京藝術大学取手キャンパス
カタチに現わすことのできない「感動」について、顕在化、普遍化することの研究と共に、世の中の「感動価値」を発掘し、社会的知財としての共有を目指し、感動体験に富んだ心豊かな社会の形成に寄与することを目的に 活動を行っています。
http://www.kandosoken.com/
〒135-0061
東京都江東区豊洲3-2-24 豊洲フォレシア(株式会社ムラヤマ内)
長い歴史をかけて、人は「技」を進化させてきた。モノを作り始めたときが人類の始まりだとすると、人類は生まれると同時にそれら「技」を積み上げ、後世へとつなげてきた。そのプロセスで得た体験は、人類の思考をも形作って来た。
「感じる」ということは何か? 何かを感じ、人と共有することは、つながりができることでもある。そこにあるアートが感性へと気配のようなもので、働きかけるときが面白い。自分の感性で楽しめば、様々なことがつながっていくだろう。
赤ん坊の頃は誰しも、触って、匂いを嗅いで、口に入れて事物の存 在を確かめた。私達はマテリアルをテクニカルに追い求める中からフィジカルにその声を拾い上げ、表現へと解放する。さあ、一緒にマテリアルの森へと旅に出かけましょう。
人と人、ヒトとモノが出会う「場」 において、空間を通して見る人の感動や経験を体験価値としてデザインし、さまざまなイベント、エキシビジョン、企業 PR 施設を手がける。今回は空間を装飾するデザインではなく、作品が創造されるプロセスを、残像としてデザインすることを探求しコンセプトメークを手がける。
1200度の蜂蜜のようなガラスの中で金属を溶かしながら、偶然の形を封じ込める。
液体と固体の間を彷徨い、恣意と作為の間で生み出された透明な物体は、どこかの惑星に生まれた原初の生命体のようだ。
光を放つ生命体のようなガラスの塊は、外的な音によって反応し、あなたとコミュニケートすることができる。
ガラス 地村 洋平(ちむら ようへい)
■1984年千葉県千葉市生まれ
■東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程 美術
■受賞 野村美術賞/サロン・ド・プランタン賞
地面と垂直に育った木材を、旋盤で水平方向に削り、それを垂直に二等分する。木に閉じ込められていた時間が匂いとなって空間に立ち込める。
匂いとともに見えてくるのは、形か輪郭か、痕跡となった行為だろうか?
切断された梯子が、反転して脚立となったとき、あなたの身の回りにあるモノの感じ方が少し変わるもしれない。
木工 藤原 洋人(ふじわら ひろと)
■1982年東京都世田谷区生まれ
■東京芸術大学大学院美術研究科木工芸専攻修了
ゆらゆらと揺らめき、チラチラ光る。
互いにぶつかり、キラキラと音がなる。
視覚的な音、聴覚的な光が空間に響く。
その時、私たちは
見えない光を聞き、聞こえない音を見ることができるだろうか?
*バシェ兄弟とハリー・ベルトイア、バルセロナ大学のマルティ・ルイツに、リスペクトを捧げて
金工 田中 航(たなか こう)
■ 1978年東京都日野市生まれ
■東京藝術大学大学院美術研究科鍛金専攻修了
■受賞 サロン・ド・プランタン賞
眼球は、人間の持つ最も美しい感覚器の一つである。 金属板にガラスを焼き付け重ねていく七宝技法は、金属の反射とガラス釉薬の透明感が重なり、まさに眼球のような、みずみずしさと光を描き出す。
眼は心の窓と言われる。
あなたの眼は何を映し出していますか?あなた自身の眼で視てほしい。
七宝 前田 恭兵(まえだ きょうへい)
■1984年兵庫県西脇市生まれ
■東京藝術大学大学院美術研究科彫金専攻修了
■受賞「第5回タグボートアワード」 小山登美夫審査員特別賞
「今日も、思ってもいないことを言ってしまった。」と彼女はつぶやく。音となって消えてしまう言葉はしかし、心に深く残り続ける。表裏うらはらな彼女の言葉は永い時によって堆積した石に刻まれて、現実世界の重さを得た。
どうぞ、鏡の前に立ち、重いフキダシを手にとって顔の横にかざしてみて下さい。あなたが発したいのは表と裏、どちらの言葉ですか?
壁画 大塩 博子(おおしお ひろこ)
■1983年東京都練馬区生まれ
■東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻修了